前回の記事では、
日本株をすべて手放し、米国市場メインの分配型投資信託へと切り替えた理由についてお話しました。
月24万円という配当額に到達しながらも、
どこかで感じていた「再投資しにくい」「お金がうまく回らない」という違和感。
その解消のために、私は“回転力”と“柔軟性”を重視したポートフォリオへと再設計を進めました。
──ですが。
配当戦略を見直してからも、ひとつだけ残り続けている感覚があります。
それが、
「この配当、本当に続くのか?」という静かな不安。
数字は増えても、
“安心感”や“信頼感”が比例して増えるわけではありませんでした。
今回はその不安の正体を掘り下げながら、
「配当の質をどう高めていくか?」という次のステップについて考えていきます。
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🟦 導入:配当が増えても、「安心感」は比例しなかった
2025年、私の配当は月24万円を超えました。
前年比で+40万円。これだけ見れば「成果が出ている」と言っていいと思います。
でも──。
心のどこかにずっと残っていたのが、**「この配当、本当に続くのか?」**という不安でした。
「金額は増えたのに、安心できない」
このギャップの原因は、振り返れば明確でした。
それは、“配当の質”という視点が抜け落ちていたことに気づいたんです。
投資初期は「とにかく増やす」ことに集中していました。
数字だけを見て、「利回りが高い=優秀」と思い込んでいた時期です。
でもある時から、**「数字はあるのに、不安が消えない」**という感覚が出てきました。
それが、今回の見直しの原点です。
🟦 第1章:「量」ではなく「質」に目を向ける時期が来た
「利回り6%超」や「年間配当100万円突破」など、
インパクトのある数字は確かに達成感をくれます。
でも、それが来年も、再来年も維持される保証はないことに、ある日ふと気づきました。
たとえば、保有していたある高配当銘柄は、
決算悪化と同時に減配+株価下落。
一気に「利回り7%→配当なし」に転落するリスクを体感しました。
こうした経験を通じて、考えが変わってきました。
目指すべきは、「配当を増やす」ことではなく、「崩れにくい土台」を作ることだと。
キーワードは、“持続可能な配当”。
つまり、配当の「質」が問われるフェーズに入ったと実感しています。
🟦 第2章:なぜ“安定していない”と感じたのか?
ポートフォリオを分析してみて、すぐにいくつかの“偏り”が見えてきました。
✅ ① 配当月が偏りすぎていた
- 三菱HCキャピタル、ENEOSは6月・12月配当
- 結果として、年2回の入金に集中 → 「キャッシュが停滞する期間」が長くなる
- せっかくの配当が“活かせない”時期ができてしまう
✅ ② 銘柄が偏っていた
- 高利回り銘柄に寄せた結果、セクターが集中(エネルギー・金融)
- 同じような業績要因・政策リスクに左右されやすく、連鎖的な下落リスクが潜む
✅ ③ 減配リスクの見落とし
- 「利回りが高いから」と買った銘柄が、決算発表で減配を宣言
- 一時は年利8%以上あったのに、一瞬で“魅力ゼロ”の銘柄に
このように見直していくと、
「確かに今は配当が入ってる。でも、それは**“たまたま維持できているだけ”かもしれない**」という現実に気づきました。
そして、こう考えるようになったんです。
「今は良くても、5年後に残ってる配当はいくつある?」
だからこそ、次に目指すのは、「配当の持続力」と「信頼性」。
“増えたか”ではなく、“持ち続けられるか”を軸に、戦略を見直していくことにしました。
次章では、その戦略見直しの具体的な3つの考え方をお伝えします。
→ 減配に強い銘柄の条件、分散の考え方、リスクとどう付き合うか──へ続きます。
🟩 スライド3|感じていた課題
配当額は増えたのに、なぜかお金が“回らない”──その理由
月24万円という配当額は、数字としては立派でした。
でも正直なところ、再投資がスムーズにできないことにずっと悩んでいました。
その原因は、いくつも重なっていました。
- 配当月が偏りすぎていて、資金が余って動かせない時期がある
- 利回り重視で選んだ結果、銘柄の成長性が弱い
- そして何より、今の構成が“未来につながる設計”には見えなかった
さらに深く考えていくと、
**「日本というマーケットそのものの縮小」**という大きな不安も見えてきました。
国内企業は、基本的に“日本人に売る”ことで成長してきました。
でもその前提が、今後は崩れていく可能性があります。
少子化・高齢化・人口減少──
これは単なる社会問題ではなく、「企業の業績と配当の持続性」にも直結するリスクです。
これらすべてが、私に「このままではキャッシュが回らない」と思わせた理由でした。
🟩 スライド4|戦略の大転換
日本株の全売却。そして、“循環”を生む構成へ
そうして私は、思い切って日本株をすべて手放すという決断をしました。
次に選んだのは、
**米国市場をメインに据えた“分配型の投資信託”**です。
その理由は、大きく3つ。
✅ ① 毎月分配される仕組み
→ キャッシュが滞らず、タイムリーに再投資できる
✅ ② 利回りが高く、再投資効率が良い
→ 配当ではなく「分配」という形でも、再投資の原資を生み出せる
✅ ③ 米国市場の成長性
→ 少なくとも現時点では、人口・イノベーション・経済成長すべてが期待できる
私にとってこれは「逃げ」ではなく、
“資産を生かす設計”へのアップデートでした。
これからは、単に「もらう」だけでなく、
“もらって、回して、育てる”投資に切り替えていくつもりです。
🟩 スライド5|分配型投信×柔軟な再投資
“再投資が基本”でも、“必要なら使える”という安心感を
分配型投信を使うようになってから、
私の投資は「ただ積み上げる」から「回す」意識に変わりました。
もちろん、基本方針は再投資です。
もらった分配金は、すぐに次の原資として使っていく。
この“再投入のサイクル”が、資産を加速させてくれます。
でも最近では、「使える」という柔軟性も重視しています。
たとえば、こんなとき:
- 子どものイベントや教育費が重なった月
- 生活防衛費に手をつけたくないときのちょっとした補填
- 一時的なキャッシュ需要(保険・税金など)
これまでは「配当は絶対に使わない」と思っていました。
でも今は、使わないためにも“使える余白”が必要だと感じています。
分配金を「使える仕組み」にしておくことで、
再投資を止めずに、心の安定も得られる──。
それが、私にとっての**“仕組みとしての投資”の完成形**に近い感覚です。
🟩 スライド6|リスクとの向き合い方
“分配金が出ない月”にどう備えるか?
分配型投信は便利です。
でも、「万能ではない」こともハッキリ理解しています。
実際に、こういう不安は常にあります:
- 市場悪化や分配方針の変更で、突然の減配・無配
- ファンドの入れ替えや運用停止など、自分のコントロール外の変化
だから私は、分配型を「メイン」には据えていません。
補完的な役割として活用し、
“主役”はあくまで米国ディフェンシブ銘柄の配当です。
具体的には:
- MO(アルトリア):高利回り×実績ある増配株
- PM(フィリップモリス):グローバル展開×強固なブランド
- VZ(ベライゾン):通信セクターの安定配当
これらの銘柄は、
「どんな局面でも一定の配当が得られる」という前提で組み込んでいます。
分配型は“回す”役割、
米国株は“支える”役割。
──この両輪があるからこそ、私は安心して投資を続けられています。
🟩 スライド7|これからの課題と方針
“月24万円の配当”は、まだ完成形ではない。
配当月24万円──
これは、投資を始めたころの自分から見れば“夢のような数字”でした。
でも今は、こう感じています。
「配当は“増えたかどうか”より、“続けられるかどうか”のほうが大事」
- 分配型に頼りすぎれば、不安定さも残る
- 高配当株でも、減配すれば一気に戦略が崩れる
- 為替・インフレ・税制など、予期せぬ変化もある
だからこそ、これからのテーマは:
- “安定性のある配当”を、どう積み上げていくか?
- “持続可能な仕組み”に、どう最適化していくか?
ゴールではなく、再スタート。
月24万円という数字を“土台”として、
これからは配当の「質」と「継続性」を高めていくフェーズに入ります。